この記事では、介護職における、
- 有効求人倍率からみる人手不足の状況
- 職員数の推移(2000年~2017年)
- 今後の需給見込み
について紹介しています。
「介護職として働いている人」や「これから介護業界で働こうと思っている人」に、読んでいただけると嬉しいです。
「介護業界の現状」と「これから」を知るために。
介護職の人手不足がスゴイ!2025年の不足見込みは「約34万人」
まず、結論です。
介護職の労働市場は、
- 有効求人倍率「4.10」(2020.3月)
- 2017年10月の介護職員「約187万人」
- 2020年の必要見込み「約216万人」
- 2025年の必要見込み「約245万人」
- 2025年の不足見込み「約34万人」
という状況です。
それでは、詳しく説明していきます。
医療・介護職の有効求人倍率の推移(2012年度~2019年度)
医療・介護系職種の「有効求人倍率」は、次のようになっています。
(厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成しています)
【医療・介護職の有効求人倍率一覧】
医師・薬剤師等 | 看護師等 | 医療技術者 | 介護職 | |
2012年度 | 7.49 | 2.95 | 2.66 | 1.71 |
2013年度 | 7.37 | 2.86 | 2.80 | 2.07 |
2014年度 | 6.70 | 2.74 | 3.05 | 2.36 |
2015年度 | 6.60 | 2.64 | 3.15 | 2.74 |
2016年度 | 6.09 | 2.48 | 3.02 | 3.23 |
2017年度 | 5.35 | 2.41 | 3.14 | 3.79 |
2018年度 | 4.55 | 2.40 | 3.32 | 4.06 |
2019年度 | 3.34 | 2.31 | 3.11 | 4.10 |
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有効求人倍率の見方は、こちらの記事で紹介しています。
わかりやすくグラフにするとこんな感じです。
「医師・薬剤師等」の有効求人倍率は、7.49から3.34へ減少、「看護師等」については、2.95から2.31へ減少となっています。
これは、少しづつですが、人手不足が改善されてきていることを意味しています。
一方、「医療技術者」は、2.66から3.11へ上昇、「介護職」は、1.71から4.10へと上昇しています。
これは、逆に人手不足が深刻化していることを意味しています。
特に、「介護職」については、7年間で2倍以上になっています。
超ハイスピード悪化ですね・・・
これは、介護サービス事業者の増加数に対し、介護人材の確保ができていないのが原因だと思われます。
つまり、「需要の増加に対し、供給量が足りない」ってことです。
事実、介護サービス事業所は、5年間で約5万件増えています。
このとおり。
【介護サービス事業所数の推移】
介護保険制度施行以降の介護職員数の推移(2000~2017年)
介護職員は、2017年10月現在で「約186.8万人」です。
介護保険制度が施行された2000年は「約54.9万人」でしたので、17年間で「約131.9万人」増加したことになります。
こんな感じです。
出典:厚生労働省「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」
なお、介護職員の「毎年の増加数(推移)」を一覧にすると次のようになります。
【介護職員増加人数一覧(単位:万人)】
介護職員数 | 増加人数 | |
2000年度 | 54.9 | |
2001年度 | 63.5 | 8.6 |
2002年度 | 72.4 | 8.9 |
2003年度 | 84.9 | 12.5 |
2004年度 | 93.4 | 8.5 |
2005年度 | 108.6 | 15.2 |
2006年度 | 114.1 | 5.5 |
2007年度 | 119.6 | 5.5 |
2008年度 | 123.3 | 3.7 |
2009年度 | 136.3 | 13.0 |
2010年度 | 142.7 | 6.4 |
2011年度 | 150.9 | 8.2 |
2012年度 | 163.0 | 12.1 |
2013年度 | 170.8 | 7.8 |
2014年度 | 176.5 | 5.7 |
2015年度 | 183.1 | 6.6 |
2016年度 | 183.3 | 0.2 |
2017年度 | 186.8 | 3.5 |
介護職員は、毎年数万人のペースで増加しています。(平均約8万人の増加)
中には、1年で15万人を超える年も。
ただ、要介護(要支援)者も、どんどん増え続けていて、218万人(2000年度)から、633万人(2017年度)へ増加しています。
需要に対して供給が追い付いていないので、人手不足が深刻化するのも頷けます。
介護職員の必要数(2020年・2025年の需給見込み)
厚生労働省が発表した「第7期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」によると、介護職員の需給見込みは、次のようになっています。
需要見込み | 供給見込み | 不足数 | |
2020年度 | 216万人 | 203万人 | 13万人 |
2025年度 | 245万人 | 211万人 | 34万人 |
2017年度の介護職員さんの人数は「約186.8万人」ですから、2025年まで(8年間)に、約58万人増やす必要があります。
つまり、毎年約7万人の増加ってことです。
介護職員数の推移を見る限り、毎年7万人の増加は、かなり厳しいですよね・・・
まとめ
ここで、「介護業界の現状」と「これから」についてまとめておきます。
- 介護職の人手不足はかなり深刻で、1人の介護職員を4つの事業所で取り合っている状態(有効求人倍率4.10)
- 要介護者同様、介護サービス事業所は増え続けているため、介護職の需要はますます高まる
- 2025年度まで、毎年7万人づつ介護職員を増やす必要がある
政府(国)は、介護職員さんの人手不足への対策として、次のような積極的な外国人労働者の受け入れを行っており、2019年からの5年間で、6万人の外国人介護人材の受け入れを見込んでいると発表しています。
【外国人介護人材の受け入れ制度】
- EPA(経済連携協定)
- 残留資格「介護」の創設
- 技能実習制度
- 特定技能制度(2019年4月から)
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ほんと、かなり深刻な状態ですね・・・
でも、逆にいえば、次のような好材料もあるんです。
- 強烈な「売り手市場」のため転職がしやすい
- 労働環境の改善が期待できる
- 需給バランスの影響で給与が上がりやすい
要するに、「転職に最適の時期」ってことです。
もし、現在の職場に不満(給与・待遇・人間関係など)を感じているなら、今すぐ転職する気がなかったとしても「将来の転職」に備え、情報収集をしておいてください。
色々な施設が求人を出していることもあり、情報収集がしやすいので。
そして、気に入った施設(あなたの希望にあった職場)があったら、転職を検討すればいいんですから。
ちなみに、転職の際には、必ず、ハローワークからの「再就職手当(いわゆる、就職お祝金)」をもらいましょう。
無料で利用できる、民間の転職エージェント(カイゴジョブエージェントなど)の利用でも受給できますし、近年、給付率が高くなったこともあり、もらわないのはもったいないので。
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再就職手当について、詳しくはこちらの記事を。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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