この記事では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士さんにおける、
「訪問リハビリで副業(ダブルワーク)する人が増えている理由」
について紹介しています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 副業しようか考えている
- キャリアアップ、スキルアップのために色々な経験を積みたい
- 副業を許可している事業所って、どのくらいあるの?
なぜ、訪問リハビリで副業する人が増えているのか?
まず、結論からです。
セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)さんが、訪問リハビリを選ぶのは、
- キャリアアップやスキルアップのために、本業と違うサービス(事業)を選ぶ
- 訪問リハビリの給与(時給)は、比較的高めになっている
- 訪問リハビリ事業所からの求人数が増えている
- 「副業・兼業したい」というニーズと人材不足業界のマッチング
という4つの理由からです。
それでは、1つずつ詳しく説明していきます。
キャリアアップやスキルアップのために、本業と違うサービス(事業)を選ぶ
セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)さんは、一般的に、自身のキャリアアップやスキルアップについて積極的な人が多いです。
これは、僕自身、セラピストさんの採用活動やリハビリ科からの相談や報告書などから、かなり実感しています。
というのも、就職説明会や施設見学のとき、
- 新人研修のしくみってありますか?
- 研修や勉強会の頻度は?
- 人材育成のサポート体制ってどうなっていますか?
など、自己成長に関わる質問を必ず受けますし、リハビリ科の研修や勉強会(症例検討会)などの頻度は、他部署に比べ、圧倒的に多いからです。
そうした、キャリアアップやスキルアップに積極的な人って、
「同じ仕事をただ繰り返しても意味がない」
「違う事業所(サービス)で、新しい経験を積みたい」
と思っている人が多いです。
そういう意味では、訪問リハビリは最適です。
訪問リハビリでの勤務は、セラピストとしてのある程度の経験が必要なため、「新卒でいきなり訪問リハビリ」という人は、ほとんどいません。
新卒者は、病院などで経験を積む人が多いですし。
つまり、訪問リハビリの経験を積んでいるセラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)さんは、相対的に少ないってことです。
当然、経験者が少ない中で、その経験を積んでいるということは、あなたの市場価値を上げることにに繋がりますので、キャリアアップやスキルアップに大きな効果が期待できます。
また、訪問リハビリは、「新しい経験」以外にも「働きがい(やりがい)」を感じやすいという、次のような特徴があります。
- 病院や施設で働くよりも、患者さんとその家族が身近に感じ、自分が施した「リハビリテーション」が直接的に人の役に立っている実感がある
- 自分のやったことが、直接フィードバックされる(良くも悪くも)
- 患者さんや、その家族からの「ありがとう」の嬉しさが倍増する
- 自分という看板で、仕事をしている実感がある
これらの理由から、キャリアアップやスキルアップを重視するセラピストさんは、訪問リハビリを選択する人が多いのです。
訪問リハビリの給与(時給)は、比較的高めになっている
一般的に、セラピスト(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)さんの給与(時給)は高く設定されています。
その中でも、「訪問リハビリの給与(時給)」は、さらに高めです。
僕の経験則ではありますが、訪問リハビリ事業所の時給は、
「2,000~3,000円程度」
が相場です。
仮に、時給が2,000円で、週1回(8時間)の副業をした場合、
- 2,000円(時給)× 8時間 = 16,000円(1日)
- 16,000円 × 4日 = 64,000円(1か月)
- 64,000円 × 12ヶ月 = 768,000円(年間)
となります。
年間80万円って、かなり大きな収入じゃないですか?
昇給で、月64,000円の上げようと思ったら、何年かかるか・・・
また、働き方改革の1つとして、「有給休暇の取得義務化」が始まり、
- 有給休暇が取得しやすくなる
- 年間休日(通常の休日+有給休暇)が多くなる
ってことが、起きています。(うちの事業所でも、かなり有給休暇の取得を推進しています)
有給休暇取得日に副業をすることは、法律上全く問題ありませんので、時間がある人は、月に何日か働いても、そんなに負担になることはありません。
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こうした状況からも、「副業してみようかな?」って人が増えているんだと思います。
訪問リハビリ事業所からの求人数が増えている
まずは、このグラフを見てください。
出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」
これは、訪問看護ステーション数の年間推移を表したものですが、2011年から急激に増え続けています。(6年間で、約2倍!!)
次に、訪問リハビリテーション数の年間推移です。
出典:厚生労働省「介護給付費等実態調査」
こちらも、訪問看護ステーションほどではありませんが、かなりのペースで増え続けています。(直近10年で、1.5倍以上)
当然、事業所数が、急増しているわけですから、求人数もそれに比例して増えていきます。
また、訪問看護ステーションを運営する経営主体としては、営利法人(株式会社等)の増加がスゴイことになっており、2011年からの6年間で約4倍になっています。
このとおり。
一覧表にすると、こんな感じです。
【訪問看護ステーション数一覧】
年 | 全事業所数(訪問看護) | 営利法人(会社など) | |
事業所数 | 割合 | ||
2007 | 5,407 | 1,135 | 21.0% |
2008 | 5,434 | 1,223 | 22.5% |
2009 | 5,221 | 1,216 | 23.3% |
2010 | 5,119 | 1,254 | 24.5% |
2011 | 5,212 | 1,397 | 26.8% |
2012 | 6,590 | 2,148 | 32.6% |
2013 | 7,153 | 2,525 | 35.3% |
2014 | 7,903 | 3,185 | 40.3% |
2015 | 8,745 | 3,839 | 43.9% |
2016 | 9,525 | 4,496 | 47.2% |
2017 | 10,305 | 5,101 | 49.5% |
一方、訪問リハビリテーション事業所については、すべてが、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院の開設(併設)となります。
ちなみに、株式会社等の訪問看護ステーションが増えている理由としては、
- サービス付き高齢者向け住宅の増加
- 訪問看護ステーションの開設のしやすさ(法人格があれば、誰でも開設可能)
が関係していると思われます。
サービス付き高齢者向け住宅を開設した事業者が、訪問看護ステーションを併設するケースが多いですからね。
【サービス付き高齢者向け住宅数の推移】
出典:サービス付き高齢者向け住宅登録情報提供システム
【関連記事】
「副業・兼業したい」というニーズと人材不足業界のマッチング
厚生労働省は、副業・兼業を推進しています。
そして、医療・介護業界の副業・兼業者数は、どの業界よりも増加しています。
このとおり。
出典:厚生労働省「副業・兼業の現状」
つまり、労働者の「副業・兼業したい」というニーズが増えているということです。
また、人材紹介会社(数社)さんによると、
「労働者側のニーズと人材不足である医療・介護業界のニーズがマッチングし、副業(ダブルワーク)者の受入れを行う事業所が増えている」
と言っています。
労働者の多様化したニーズに対応し、柔軟な働き方を提供できないと、人材確保は難しいですからね・・・すっごく、よくわかります。
そんな状況の中、訪問リハビリ事業所からの「ダブルワークOK求人」が、一番多くなっているそうです。
結果、訪問リハビリを副業先にする理学療法士・作業療法士・言語聴覚士さんが増えているのです。
ちなみに、副業(ダブルワーク)者の受入れをしてくれる病院や施設は、ほぼないそうです・・・
まとめ
ここで、「こういう人は、訪問リハビリでの副業がオススメ」についてまとめておきます。
- 訪問リハビリに興味がある人(病院や施設などで働きながら経験ができる)
- キャリアアップやスキルアップに積極的な人(市場価値の向上)
- 休日の空いた時間を利用して、収入を増やしたい人(時給が高いため効率がいい)
訪問リハビリへの転職を考えている人も、最初は、副業として働いてみるのもいいかもしれませんね。
転職となると、「転職先が合わなかったらどうしよう・・・」というリスクがありますが、副業としてなら、ぜんぜん不安はないですからね~
ただ、副業先を探すときは、本業先で副業が許可されているか、確認しておいてください。
厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、副業・兼業を就業規則で禁止(制限)できるのは、
- 労務提供上の支障となる場合
- 企業秘密が漏洩する場合
- 企業の名誉・信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
- 競業により企業の利益を害する場合
となっていますが、本業先とトラブルになっても、つまらないので。
まぁ、医療・介護業界については、夜勤専従バイトとかが多いので、副業OKな所が多い気がしますが・・・
ちなみに、副業だけじゃなく、転職も考えているという人は、必ず、再就職手当の受給を検討しましょう。
再就職手当は、ハローワークから支給される手当で、
- 2~3ヶ月も休むつもりがない
- すぐに次の職場を探す予定
- ハローワークで仕事を探す気がない(人材紹介サービスを使うなど)
という人でも、支給を受けられる場合があります。
また、再就職手当は、以前に比べ、給付率が上がったため、結構な金額になってます。
もらわないのはもったいないです。
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