この記事では、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」結果をもとに、
- 介護支援専門員の平均給与(年齢・経験年数・事業規模・男女・地域別)
- 介護支援専門員の平均的な働き方(勤続年数・労働時間・残業時間など)
- 他の医療・介護職種と比べ、介護支援専門員の給与は高いのか?低いのか?(他職種との給与比較)
についてまとめています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)の給与ってどのくらい?
- 転職するときの給与の目安を知りたい
- 現在、貰っている給与は、「高いのか?低いのか?」知りたい
- 介護職からキャリアアップした場合、どのくらい給与って上がるの?
【関連記事】
介護職の平均給与については、こちらの記事を。
ケアマネ(50歳)の平均給与は「月額28万円・年間賞与63万円」
まずは、この記事の概要です。
- 49.9歳、勤続9.3年のケアマネの平均年収は「3,930,400円(残業手当含む)」
- ケアマネの平均給与(年収)は、男女間で「約43万円」の違いがある
- 月の平均残業時間は「5時間」
- 事業所の規模が大きいほど、ケアマネの給与は高くなる傾向がある
- ケアマネの平均年収は、1位「東京都」、最下位「宮崎県」
- 経験年数1~4年のケアマネの基本給(所定内賃金)は「24~26万円」
- ケアマネの給与のピークは「55~59歳」
- 医療・介護系職種では、薬剤師の給与が1位(医師を除く)
それでは、「賃金構造基本統計調査」の結果について紹介していきます。
ケアマネの男女別平均給与【令和元年(2019年)】
ケアマネさんの場合、年齢や働き方はほぼ同じなのに、男女間で「約43万円」の違いがあります。
性別 | 年齢 | 平均勤続年数 | 月の労働時間 | 月の残業時間 | 支給額 | 年間賞与 | 年収 |
男 | 44.3 | 8.9 | 162 | 4 | 293,900 | 713,700 | 4,240,500 |
女 | 52.0 | 9.5 | 160 | 5 | 268,000 | 595,100 | 3,811,100 |
合計 | 49.9 | 9.3 | 161 | 5 | 275,200 | 628,000 | 3,930,400 |
男女間の年齢に6歳ほどの差がありますので、年齢層をあわせたときには、もう少し差が大きくなると思います。
なお、ケアマネさんの男女比率は、
- 男性 27.8%
- 女性 72.2%
となっていますので、男女計の平均給与は、女性に数値にかなり引っ張られます。
ケアマネの平均給与の推移「2013~2019年」
ケアマネさんの年間給与(年収)は、全体としては、上がり続けています。
年 | 年齢 | 平均勤続年数 | 月の労働時間 | 月の残業時間 | 支給額 | 年間賞与 | 年収 |
2013 | 47.5 | 8.3 | 163 | 5 | 258,900 | 558,800 | 3,665,600 |
2014 | 46.9 | 8.0 | 166 | 4 | 262,900 | 567,700 | 3,722,500 |
2015 | 47.0 | 8.7 | 165 | 5 | 261,600 | 567,300 | 3,706,500 |
2016 | 47.7 | 8.6 | 165 | 5 | 266,000 | 567,600 | 3,759,600 |
2017 | 48.0 | 8.7 | 167 | 4 | 265,300 | 591,200 | 3,774,800 |
2018 | 48.9 | 8.9 | 165 | 5 | 269,200 | 623,600 | 3,854,000 |
2019 | 49.9 | 9.3 | 161 | 5 | 275,200 | 628,000 | 3,930,400 |
グラフにするとこんな感じです。
直近の2019年では、平均年収が過去最高の「3,930,400円」となっています。
勤続年数や労働時間はほぼ変わりなく、所定内賃金(基本給)が上がっていますので、全体として、ケアマネさんの処遇が良くなっていると言えそうです。
介護業界は人手不足が深刻ですからね・・・
ケアマネの事業所規模別平均給与【令和元年(2019年)】
ケアマネさんの場合、勤務する事業所の規模(労働者数)で「労働時間、給与」にかなりの違いがあります。
労働者数 | 年齢 | 平均勤続年数 | 月の労働時間 | 月の残業時間 | 支給額 | 年間賞与 | 年収 |
10~99人 | 50.9 | 9.3 | 162 | 3 | 274,300 | 569,500 | 3,861,100 |
100~999人 | 49.0 | 9.3 | 161 | 5 | 272,300 | 670,300 | 3,937,900 |
1000人以上 | 50.5 | 9.3 | 155 | 11 | 290,900 | 638,200 | 4,129,000 |
合計 |
49.5 | 9.3 | 161 | 5 | 275,200 | 628,000 | 3,930,400 |
まず、年収についてですが、
- 労働者10~99人の事業所「3,861,100円」
- 労働者100~999人の事業所「3,937,900円」
- 労働者1,000人の事業所「4,129,000円」
となっており、労働者の多い事業所ほど、給与が高くなっています。
また、月の労働時間は、
- 労働者1,000人以上の事業所「155時間」
- 10~99人の事業「162時間」
と7時間ほど、労働者の多い事業所の方が短くなっています。(平均年齢はほぼ同様です)
これらのことから、ケアマネさんについては、極力、事業規模の大きな事業所で働く方が、給与や労働環境が良いってことが言えそうです。
ケアマネの都道府県(地域)別平均給与【令和元年(2019年)】
ケアマネさんの給与は、地域によって、バラツキがあります。
このとおり。
都道府県 | 年齢 | 平均年収 |
北海道 | 50.2 | 3,780,900 |
青森 | 51.6 | 3,418,400 |
岩手 | 48.6 | 3,593,600 |
宮城 | 48.0 | 3,993,200 |
秋田 | 46.2 | 3,553,400 |
山形 | 40.1 | 3,394,500 |
福島 | 50.9 | 3,847,200 |
茨城 | 45.7 | 4,039,100 |
栃木 | 54.3 | 3,904,400 |
群馬 | 48.3 | 3,987,000 |
埼玉 | 49.5 | 3,859,000 |
千葉 | 49.9 | 4,141,700 |
東京 | 50.9 | 4,695,500 |
神奈川 | 48.6 | 3,992,300 |
新潟 | 49.8 | 3,932,200 |
富山 | 49.5 | 3,486,900 |
石川 | 54.9 | 3,824,800 |
福井 | 46.3 | 4,283,500 |
山梨 | 48.2 | 3,946,200 |
長野 | 52.9 | 3,824,900 |
岐阜 | 40.9 | 3,682,300 |
静岡 | 53.0 | 4,116,300 |
愛知 | 51.4 | 3,806,800 |
三重 | 50.5 | 4,049,400 |
滋賀 | 52.8 | 4,674,700 |
京都 | 54.0 | 4,219,300 |
大阪 | 48.4 | 4,005,600 |
兵庫 | 46.8 | 4,006,900 |
奈良 | 44.9 | 4,022,500 |
和歌山 | 44.0 | 4,081,800 |
鳥取 | 47.7 | 3,327,300 |
島根 | 54.3 | 4,420,000 |
岡山 | 49.3 | 3,379,900 |
広島 | 47.3 | 3,592,100 |
山口 | 49.1 | 4,389,300 |
徳島 | 51.1 | 4,116,000 |
香川 | 54.6 | 3,279,800 |
愛媛 | 50.8 | 3,521,700 |
高知 | 51.8 | 4,121,500 |
福岡 | 48.6 | 3,588,700 |
佐賀 | 50.3 | 3,926,900 |
長崎 | 49.2 | 3,620,900 |
熊本 | 50.8 | 3,793,200 |
大分 | 53.1 | 3,507,600 |
宮崎 | 52.6 | 2,828,600 |
鹿児島 | 48.3 | 3,584,100 |
沖縄 | 47.4 | 3,372,700 |
わかりやすくグラフにすると、こんな感じです。
また、平均年収が多い順に並べると、こうなります。
1位の東京都「4,695,500円」と、最下位の宮崎県「2,828,600円」を比較すると、約187万円ほどの違いがあります。
主な要因としては、地域における需給バランスの違いによるものだと思います。
つまり、ケアマネさんが不足している地域では給与は高くなり、充足している地域では給与は少なくなる傾向があるということです。(宮崎県は、別の事情がありそうですが・・・)
もちろん、居宅介護事業所などの事情や採用のタイミングの影響もあると思いますが。
ちなみに、ケアマネさんの給与は、比較的、都市部の方が高くなると言われてます。
ケアマネの基本給(所定内賃金)と年間賞与【経験年数別・男女別】
転職するときの給与提示は、基本給でされることが多いでしょうから、こっちの金額の方が、働き方(長時間の残業など)に左右されず、比較がしやすいと思います。
令和元年(2019年) 賃金構造基本統計調査
(単位:円)
経験年数 | 男 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 247,800 | 489,500 | 3,463,100 |
5~9年 | 282,000 | 787,600 | 4,171,600 |
10~14年 | 282,000 | 677,400 | 4,061,400 |
15年以上 | 307,600 | 885,600 | 4,576,800 |
全体 | 283,700 | 713,700 | 4,118,100 |
経験年数 | 女 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 254,500 | 508,700 | 3,562,700 |
5~9年 | 246,800 | 635,000 | 3,596,600 |
10~14年 | 262,700 | 579,300 | 3,731,700 |
15年以上 | 267,500 | 660,800 | 3,870,800 |
全体 | 258,000 | 595,100 | 3,691,100 |
また、年収は「所定内賃金×12ヶ月+年間賞与」にて算出しています。
グラフにすると、こんな感じです。
経験年数1~4年のケアマネさんの基本給(所定内賃金)は「24~26万円」のため、介護職などからのキャリアップで、ケアマネとして転職した場合は、このぐらいの給与が目安(スタート地点)となりそうです。
なので、介護職としての経験が長く、夜勤をやっている場合は、ケアマネになることで給与が下がってしまうってことがありそうですね。
処遇改善加算も受けられなくなるでしょうし。
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なお、参考までに、平成30年(2018年)の調査結果も載せておきます。
比較してみると、基本給(所定内賃金)は、ほぼ横ばいって感じです。
平成30年(2018年) 賃金構造基本統計調査
(単位:円)
経験年数 | 男 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 244,300 | 474,300 | 3,405,900 |
5~9年 | 279,600 | 636,900 | 3,992,100 |
10~14年 | 288,700 | 896,300 | 4,360,700 |
15年以上 | 308,400 | 941,600 | 4,642,400 |
全体 | 277,900 | 729,300 | 4,064,100 |
経験年数 | 女 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 229,200 | 571,600 | 3,322,000 |
5~9年 | 246,700 | 630,000 | 3,590,400 |
10~14年 | 262,300 | 596,600 | 3,744,200 |
15年以上 | 270,000 | 631,500 | 3,871,500 |
全体 | 250,700 | 587,500 | 3,595,900 |
また、年収は「所定内賃金×12ヶ月+年間賞与」にて算出しています。
ケアマネの給与(年収)のピーク年齢は「55~64歳」
令和元年(2019年)のケアマネの年齢別平均年収は、次のようになっています。
【介護支援専門員 年齢別平均年収一覧表(2019年)】
年齢 | 平均年収 | |
男性 | 女性 | |
20~24歳 | 3,194,500 | 3,344,300 |
25~29歳 | 3,561,800 | 3,601,700 |
30~34歳 | 3,588,700 | 3,355,200 |
35~39歳 | 4,181,000 | 3,539,800 |
40~44歳 | 4,299,100 | 3,833,300 |
45~49歳 | 4,205,200 | 3,731,900 |
50~54歳 | 4,085,500 | 3,822,000 |
55~59歳 | 4,319,600 | 3,815,200 |
60~64歳 | 3,159,400 | 3,472,100 |
65~69歳 | 4,055,700 | 3,389,800 |
わかりやすく、グラフにするとこんな感じです。
この表によると、ケアマネさんの給与のピークは、
- 男性55~59歳「4,319,600円」
- 女性40~44歳「3,833,300円」
ということになります。
ケアマネさんの場合、男女ともに「40~44歳」で最初のピークが来ているのが、他の職種と比べ、特徴的です。
医療・介護系職種の給与比較【令和元年(2019年)】
医療・介護系職種では、医師を除き、薬剤師の給与(年収)がダントツ1位です。
ケアマネさんは、第6位(男女計)って感じですかね。
こんな感じに。
また、医師(歯科医師)を入れてみると、こんな感じになります。
医師は別格ですからね・・・
なお、詳細な金額は次のとおりです。
【医療・介護系職種 平均年収一覧表(2019年)】
職種 | 平均給与 | |
男性 | 女性 | |
医師 | 12,269,400 | 10,163,500 |
歯科医師 | 6,523,300 | 4,729,200 |
薬剤師 | 6,006,000 | 5,356,600 |
看護師 | 4,960,800 | 4,813,600 |
准看護師 | 4,249,100 | 4,006,100 |
看護補助者 | 3,281,300 | 2,986,500 |
診療放射線技師 | 5,204,300 | 4,640,200 |
臨床検査技師 | 5,012,500 | 4,453,300 |
理学・作業療法士 | 4,221,800 | 3,942,700 |
歯科衛生士 | 3,084,400 | 3,707,400 |
栄養士 | 3,693,400 | 3,558,900 |
保育士 | 3,891,600 | 3,621,300 |
介護支援専門員 | 4,240,500 | 3,811,100 |
ホームヘルパー | 3,679,600 | 3,166,000 |
福祉施設介護員 | 3,715,500 | 3,320,000 |
まとめ
今回紹介した「ケアマネの平均給与」は、あくまでも平均値です。
なので、場合によっては、提示された給与額が平均給与から大きく外れることも考えられます。
ただ、転職などをするときの「1つの目安」としては、かなり参考になる数値だと思います。
提示された給与が「高いのか?安いのか?」、また「どのくらいの給与額を希望していいのか?」がわかりますので。
ぜひ、あなたの経験が適性に評価されるよう「平均給与額」を目安に、給与などの条件交渉を行ってみてください。
ちなみに、転職の際には、必ず、再就職手当の受給を検討しましょう。
再就職手当は、ハローワークから支給される手当で、
- 2~3ヶ月も休むつもりがない
- すぐに次の職場を探す予定
- ハローワークで仕事を探す気がない(人材紹介サービスを使うなど)
という人でも、支給を受けられる場合があります。
また、再就職手当は、以前に比べ、給付率が上がったため、結構な金額になってます。
もらわないのはもったいないです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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