この記事では、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」から、保育士における、
- 経験年数別、男女別の平均給与額
- 平均的な働き方(勤続年数、労働時間、残業時間など)
- 産業別、職種別の平均年収の比較
- 平均年収の推移(2013年~)
についてまとめています。
こんな人に読んでいただけると嬉しいです。
- 保育士の給与ってどのくらい?
- 転職するときの給与の目安を知りたい(経験年数などに応じた)
- 今の給与は、「高いのか?低いのか?」知りたい
- 保育士の給与って、改善されてるの?
最新の調査結果(2021年)は、こちらの記事でまとめています。
保育士(36.7歳)の平均給与は「月額24万円・年間賞与70万円」
まずは、この記事の概要です。
- 男性保育士(31.9歳、勤続6.2年)の平均年収は「3,827,300円(残業手当含む)」
- 女性保育士(37.0歳、勤続7.9年)の平均年収は「3,563,900円(残業手当含む)」
- 保育士の男女比率は、「男性5.8%・女性94.2%」
- 経験年数1~4年の保育士の基本給(所定内賃金)は「23万~25万円」
- 保育士の給与は、他の産業と比べ少ないが、徐々に改善されてきている
それでは、1つずつ詳しく説明していきます。
保育士の男女別平均給与【2019年】
まずは、男女別の平均給与と働き方の違いを見てみます。
性別 | 年齢 | 平均勤続年数 | 月の残業時間 | 月額給与 | 年間賞与 | 年収 |
男 | 31.9 | 6.2 | 5 | 263,900 | 724,800 | 3,891,600 |
女 | 37.0 | 7.9 | 4 | 243,500 | 699,300 | 3,621,300 |
合計 | 36.7 | 7.8 | 4 | 244,500 | 700,600 | 3,634,600 |
男性の方が、年齢で5歳低く、勤続年数が1.7年少ないのに、女性よりも「27万円」程度、年収が高くなっています。
明確な理由はわかりませんが、2019年の「賃金構造基本統計調査」における、保育士さんの男女比率が、
- 男性 5.1%
- 女性 94.9%
であることから、男性の場合、「役職者などの給与に、平均値が大きく引っ張られてるのかな?」と思ったりします。
保育士の給与は、他の産業・職種と比べて安いのか?
保育士さんの平均年収「3,634,600円」ですが、
- 他の産業と比べて安いの?高いの?
- 保育士さんと近しい産業である、「医療・福祉業界」の職種と比べるとどうなの?
と疑問に思ったので、調べてみました。
結果は、次のとおりです・・・(保育士が一番左です)
【保育士と産業別平均年収の比較(2019年)】
【医療・福祉系職種別 平均年収比較(2019年)】
厚生労働省は、役職者を除く全産業平均年収を「440万円」としていますので、保育士さんの平均年収「3,634,600円」は、かなり安いということになります。
でも、そう思うと、医療・福祉系職種のほとんどが、「440万円」に届いてないんですけどね・・・
「もうちょっと、診療報酬・介護報酬を上げようよ・・・」と思うのは、僕だけでしょうか?(笑)
保育士の平均給与の推移「2013~2019年」
次に、保育士さんの平均的な働き方における年間給与(年収)の推移を見てみます。
保育士さんの給与というと、暗い話題が多いように思いますが、明るい話題もあるんですよ。
男性保育士
年 | 年齢 | 平均勤続年数 | 月の残業時間 | 月額給与 | 年間賞与 | 年収 |
2013 | 30.2 | 4.8 | 4 | 225,400 | 529,200 | 3,234,000 |
2014 | 31.4 | 6.3 | 5 | 239,400 | 636,000 | 3,508,800 |
2015 | 30.9 | 5.8 | 5 | 238,200 | 604,500 | 3,462,900 |
2016 | 31.3 | 6.2 | 6 | 248,300 | 657,600 | 3,637,200 |
2017 | 32.4 | 6.4 | 5 | 254,100 | 723,400 | 3,772,600 |
2018 | 32.0 | 5.9 | 5 | 260,300 | 703,700 | 3,827,300 |
2019 | 31.9 | 6.2 | 5 | 263,900 | 724,800 | 3,891,600 |
女性保育士
年 | 年齢 | 平均勤続年数 | 月の残業時間 | 月額給与 | 年間賞与 | 年収 |
2013 | 34.9 | 7.7 | 4 | 212,600 | 540,000 | 3,091,200 |
2014 | 35.1 | 7.7 | 4 | 214,400 | 569,400 | 3,142,200 |
2015 | 35.2 | 7.7 | 4 | 218,200 | 602,900 | 3,221,000 |
2016 | 36.3 | 7.8 | 4 | 221,900 | 584,200 | 3,247,000 |
2017 | 36.1 | 7.8 | 4 | 228,200 | 658,300 | 3,396,700 |
2018 | 37.1 | 8.2 | 4 | 238,000 | 707,900 | 3,563,900 |
2019 | 37.0 | 7.9 | 4 | 243,500 | 699,300 | 3,621,300 |
男女ともに、2013年と2019年で比較すると、「53~65万円」程度の年収アップになっています。
わかりやすくグラフにしてみると、こんな感じです。
これは、「処遇改善等加算」などによる効果かもしれません。
ただ、子どもを預かるという責任の重さや業務の大変さを思うと、まだまだって感じがしますけどね・・・
ちなみに、「処遇改善等加算」とは、次のようなものです。
出典:厚生労働省「保育分野の現状と取組について」
保育士の基本給(所定内賃金)と年間賞与
続いて、男女別・経験年数別の基本給の金額です。
転職するときの給与提示は、基本給でされることが多いでしょうから、こっちの金額の方が、働き方(残業時間など)に左右されず、比較がしやすいと思います。
2019年 賃金構造基本統計調査
(単位:円)
経験年数 | 男 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 231,700 | 613,200 | 3,393,600 |
5~9年 | 255,700 | 794,200 | 3,862,600 |
10~14年 | 278,900 | 1,015,500 | 4,362,300 |
15年以上 | 327,400 | 1,325,000 | 5,253,800 |
全体 | 254,100 | 724,800 | 3,774,000 |
経験年数 | 女 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 216,500 | 563,700 | 3,161,700 |
5~9年 | 230,400 | 674,100 | 3,438,900 |
10~14年 | 241,600 | 750,200 | 3,649,400 |
15年以上 | 268,100 | 984,800 | 4,202,000 |
全体 | 237,100 | 699,300 | 3,544,500 |
また、年収は「所定内賃金×12ヶ月+年間賞与」にて算出しています。
わかりやすくグラフで見てみると、こんな感じになります。
なお、参考までに、2018年の調査結果も載せておきます。
比較してみると、全体として、処遇が改善されてきているのがわかると思います。
2018年 賃金構造基本統計調査
(単位:円)
経験年数 | 男 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 217,700 | 542,200 | 3,154,600 |
5~9年 | 261,900 | 860,300 | 4,003,100 |
10~14年 | 288,300 | 963,200 | 4,422,800 |
15年以上 | 333,500 | 1,217,000 | 5,219,000 |
全体 | 250,800 | 703,700 | 3,713,300 |
経験年数 | 女 | ||
所定内賃金 | 年間賞与 | 年収 | |
1~4年 | 207,600 | 577,000 | 3,068,200 |
5~9年 | 221,700 | 700,600 | 3,361,000 |
10~14年 | 235,200 | 743,200 | 3,565,600 |
15年以上 | 266,500 | 959,200 | 4,157,200 |
全体 | 231,500 | 707,900 | 3,485,900 |
また、年収は「所定内賃金×12ヶ月+年間賞与」にて算出しています。
同じく、グラフにしてみると、こんな感じです。
まとめ
今回紹介した「保育士の平均給与」は、あくまでも平均値です。
なので、場合によっては、提示された給与額が平均給与から大きく外れることも考えられます。
ただ、転職をするときや、キャリアアップを考えるときの「1つの目安」としては、かなり参考になる数値だと思います。
ぜひ、あなたの経験が適性に評価されるよう「平均給与額」をベースに、給与などの条件交渉を含め、色々と検討してみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ちなみに、転職の際には、必ず、再就職手当の受給を検討しましょう。
再就職手当は、ハローワークから支給される手当で、
- 2~3ヶ月も休むつもりがない
- すぐに次の職場を探す予定
- ハローワークで仕事を探す気がない(人材紹介サービスを使うなど)
という人でも、支給を受けられる場合があります。
また、再就職手当は、以前に比べ、給付率が上がったため、結構な金額になってます。
もらわないのはもったいないです。
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