この記事では、
- 賞与(ボーナス)の社会保険料をかからなくする、お得な退職方法
- 退職日に違いによる、社会保険料のしくみと金額
について紹介しています。
こんな人の読んでいただけると嬉しいです。
- 退職を考えている
- 少しでも、お得に退職したい(社会保険料を安くしたい)
- 賞与にかかってくる、社会保険料のしくみが知りたい
「賞与をもらってから退職」が、やっぱり一番お得(条件あり)
「あたりまえでしょ!?」って言われちゃうかもしれませんが、一番お得な退職時期は、賞与支給月の退職です。
ただ、「賞与支給月なら、いつ退職してもいいのか?」というと、それは違います。
お得な退職をするには、1つだけ条件があるんです。
それは、
「退職日を、月末日にしない」
ということです。
わかりやすく言うと、
「12月10日が賞与支給日であれば、12月30日付退職や12月20日付退職にして、12月31日付退職をしない」
ってことです。
そうすることで、本来であれば、賞与にかかってくる社会保険料を無料(0円)にすることができるんです。
もちろん、合法ですよ。
なぜ、月途中の退職だと、賞与の社会保険料が無料になるのか?
社会保険料の徴収には、次のようなルールがあります。
- 社会保険料は、月単位で徴収され、日割り計算はしない
- 資格喪失日の属する月の前月まで社会保険料を徴収する
- 社会保険料は、月末日の加入状況で、支払い先が判断がされる
このルールによって、賞与の社会保険料が無料になります。
それでは、1つずつ説明していきます。
社会保険料は、月単位で徴収され、日割り計算はしない
社会保険料の徴収については、健康保険法第156条にて定められており、
「保険料は月単位で計算する」
とされています。
こんな感じです。
(被保険者の保険料額)
第百五十六条 被保険者に関する保険料額は、各月につき、次の各号に掲げる被保険者の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
一 介護保険法第九条第二号に規定する被保険者(以下「介護保険第二号被保険者」という。)である被保険者 一般保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ一般保険料率(基本保険料率と特定保険料率とを合算した率をいう。)を乗じて得た額をいう。以下同じ。)と介護保険料額(各被保険者の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ介護保険料率を乗じて得た額をいう。以下同じ。)との合算額
二 介護保険第二号被保険者である被保険者以外の被保険者 一般保険料額
出典:e-Gov「健康保険法」
ごちゃごちゃとわかりづらいですが、「保険料額は、各月につき・・・」という所がポイントです。
なので、その月の社会保険料は、加入日数(被保険者の期間)に関わらず、「払うか、払わないか」の2択しかないってことになります。
資格喪失日の属する月の前月まで社会保険料を徴収する
退職時における社会保険料の徴収(支払い)については、資格喪失日の前月までと、健康保険法156条で定められています。
こんな感じです。
(被保険者の保険料額)
前月から引き続き被保険者である者がその資格を喪失した場合においては、その月分の保険料は、算定しない。
出典:e-Gov「健康保険法」
健康保険法でいう、「資格を喪失した場合(日)」とは、その事実(退職や死亡など)があった日の翌日されています。
ですので、退職日の翌日が属する月は、社会保険料が発生しないことになります。
わかりやすく一覧表にしておきます。
退職日 | 資格喪失日 | 社会保険料の徴収(支払い) |
12月31日 | 1月1日 | 12月分の社会保険料まで徴収 |
12月30日 | 12月31日 | 11月分の社会保険料まで徴収 |
つまり、月途中(月末日以外)の退職であれば、
「たとえ、30日間社会保険に加入していたといても無料」
ってことになります。
なお、このルールは、賞与(ボーナス)にも適用されます。
結果、賞与をもらってから、月途中で退職するのがお得ってことになるんです。
社会保険料は、月末日の加入状況で、支払い先が判断がされる
社会保険料の支払い先は、原則、毎月の月末日にどの保険に加入しているかで判断されます。
なので、
- 12/30まで、今の職場の社会保険に加入している
- 12/31から、新しい職場の社会保険に加入する
という場合、12月分の保険料は、たった1日しか加入していなくても、新しい職場で支払うことになります。
ただ、これは、毎月の給与にかかる社会保険料についてです。
賞与(ボーナス)の社会保険料については、今の職場で支給された賞与分を、新しい職場で支払うことはありませんので、安心してください。
このとおり。
賞与に対する保険料は、支給する賞与から控除することができます。
退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象となりません。
【関連記事】
賞与の社会保険料は、どのくらいかかるのか?
概算ではありますが、賞与支給額別の社会保険料を早見表にしておきます。
参考程度にご覧ください。
賞与支給額「100,000~500,000円」
賞与支給額「525,000~1,000,000円」
早見表を見てみると、賞与支給額(1回)が、600,000円の人であれば、社会保険料は、91,890円となります。
結構、取られますよね・・・
なお、「もっと詳細に計算したい」という人は、こちらの記事をご覧ください。
退職後に「国民健康保険」に加入するときは注意が必要
国民健康保険は、前年度の所得金額に応じて、保険料額が決定します。
賞与支給時の社会保険料が無料(0円)になっても、その分、来年の保険料が上がってしまったら意味がありませんし。
なので、退職後の保険は、
- 他の事業所(会社)の社会保険
- 配偶者の扶養(社会保険)
のどっちかがいいと思います。
賞与支給月に月途中退職する場合は、このあたりも検討してみてください。
ちなみに、配偶者の扶養(社会保険)に入れるなら、社会保険料は1円もかかりませんので、最高にお得です。
【関連記事】
社会保険料が、無料になった分、所得税と住民税が増える
賞与の社会保険料が無料なった分(金額)には、所得税と住民税がかかってきます。
金額としては、
「賞与にかかる社会保険料に、次の税率をかけた金額」
となります。(概算です)
- 所得税 5~45%(あなたの所得金額により、7段階に変動)
- 住民税 10%
たとえば、
- 年齢 40歳
- 賞与支給額 60万円
- 社会保険料額 91,890円
- 所得税率 10%
- 住民税率 10%
で試算してみると、
91,890円 × 20% = 18,378円(増える税金)
91,890円 - 18,378円 = 73,512円(最終的なお得金額)
所得税、住民税の増額を考慮しても、結構、お得ですよね~
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まとめ
ここで、「お得な退職方法と社会保険料の徴収のしくみ」についておさらいです。
- お得に退職するなら「賞与をもらって月途中退職」
- 社会保険料は、月単位で徴収される(日割り計算はしない)
- 資格喪失日の属する月の前月まで社会保険料は徴収される
- 社会保険料は、月末日の加入状況で、支払い先が判断がされる
- 賞与の社会保険料は、総支給額の約15%
- 退職後は、他の会社の社会保険か、配偶者等の扶養に入ろう
賞与(ボーナス)の社会保険料って、結構な金額になります。
でも、退職日をちょっと調整するだけで、保険料を無料(0円)にすることができます。
もし、退職を考えているなら、退職月だけでなく、退職日についても検討してみてください。
手取り額が増えますよ~
なお、退職するなら、雇用保険の「再就職手当」をもらいましょう。
絶対にお得なんで。
詳しくは、こちらの記事を。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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