現在、保育士さんの人材不足は、かなり深刻な状況で、平成31年1月の有効求人倍率は「3.64倍」となっています。
全職種(全産業)の平均が「1.52倍」ですので、保育人材がどれだけ不足しているかが、わかると思います。
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保育士さんの人材不足の理由としては、潜在保育士の多さが1つあげられます。
厚生労働省の調査によると、保育士登録者数のうち「63.9%」の人は、保育士をやってないという結果です。
しかも、どんどんその人数(割合)は、増えています。
そこで、この記事では、
- 潜在保育士の状況
- 保育士として勤務しない理由
- 保育士が思う「現在の職場に改善してほしいこと」
- 院内保育室の魅力
について紹介します。
「ワークライフバランス重視で働きたい」
という、保育士さんに読んでいただけると嬉しいです。
保育士の不満は、「給与・人手不足・勤務時間の長さ」
まず、結論です。
- 潜在保育士は、保育士登録者の63.9%で「約76万人」
- 保育士として勤務しない理由は、「給与・人手不足・勤務時間の長さ」
- 不満が解消されれば、保育士として働きたい人は「63.6%」
- 院内保育室は、保育士の不満を軽減できる職場【ワークライフバランス重視】
それでは、1つずつ説明していきます。
潜在保育士は、保育士登録者の63.9%で「約76万人」
繰り返しにはなりますが、
「保育士資格を持っているが、保育士として勤務していない人」
は、かなり多いです。
これは、比較的、潜在者が多いと言われる「看護職員」さんと比べてみると、よくわかります。
【潜在看護職員の割合(平成26年厚生労働省の資料より)】
- 看護職員の登録者 約160万人
- 看護職員としての勤務者 約90万人(56.2%)
- 潜在看護職員 約70万人(43.8%)
潜在保育士の割合は「63.9%」ですので、約20%の違いがあります。
「20%」って、ほんとスゴイ数字で、もし、潜在保育士の割合を「20%」下げることができた場合、約23.8万人の保育士が増えることになるので、一気に保育士不足が解消することができます。
よって、潜在保育士さんの割合を下げるというのは、保育人材不足改善のカギだと僕は思います。
ただ、実際は、潜在保育士の人数(割合)は、増え続けているんですけどね・・・
このとおり。
【登録された保育士と勤務者数の推移】
出典:厚生労働省「保育士等における現状」
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保育士として勤務しない理由は、「給与・人手不足・勤務時間の長さ」
では、
「なぜ、頑張って保育士という国家資格を取得したにもかかわらず、保育士として働かないのか?」
ですが、
- 厚生労働省等の調査
- 僕の妻(保育士・幼稚園教諭です)の意見
- 妻の保育士仲間3名の意見
を集約すると、次の3つになります。
【保育士として勤務しない理由】
- 給与が安い
- 休みが取れない(取りづらい)
- 勤務時間が長い(サービス残業が多い)
たしかに!!って感じで、「働き方改革」に逆行した内容になっていますね・・・
ちなみに、厚生労働省等の調査結果は次のようになっています。
【保育士としての就業を希望しない理由(複数回答)】
出典:厚生労働省「保育分野における人材不足の原因・理由」
「賃金が希望と合わない」が最も多く、「休暇が少ない・休暇がとりにくい」ことなどがあげられています。
【保育士における現在の職場の改善希望状況】
出典:厚生労働省「保育士における現状」
約6割(59.0%)の人が、「給与・賞与等の改善」をあげています。
次いで、「職員数の増員」(40.4%)「事務・雑務の軽減」(34.9%)「未消化(有給等)休暇の改善」(31.5%)など、労働条件や職場への不満が続きます。
不満が解消されれば、保育士として働きたい人は「63.6%」
潜在保育士さんは、保育士という仕事が嫌で、保育士として働いていないわけではありません。
というのも、厚生労働省の調査では、
「就業を希望しない理由が解消された場合、また保育士として働きたいと思いますか?」
という質問に対し、
「63.6%の人が、保育士を希望する」
と答えています。
出典:厚生労働省「保育分野における人材不足の原因・理由」
つまり、
- 給与が安い
- 休みが取れない(取りづらい)
- 勤務時間が長い(サービス残業が多い)
という状況から、結果、ワークライフバランスが崩れたり、子育てとの両立ができなくなってしまい、本当は、子どもが好きで、保育士として働きたいのに働けないという人が、半数以上いるってことなんです。
なので、職場の環境改善を行うことは、保育士不足に対する喫緊の課題だと思います。
ちなみに、政府は、「処遇改善等加算」などにより、保育士の処遇改善を進めています。
保育士さんが、どれくらい実感しているか、ちょっと疑問ですが、こんな感じのイメージです。
出典:厚生労働省「保育分野の現状と取組について」
詳しくは、こちらのサイトを。
院内保育室は、保育士の不満を軽減できる職場【ワークライフバランス重視】
あなたの不満をすべて解消できるとは言えませんが、病院内保育施設(院内保育室)であれば、かなりの不満や負担を軽減することができます。
院内保育室は、病院などに併設(病院内や近隣に設置)される施設で、その病院などで勤務している職員(医師、看護師など)の子どもを預かる施設です。
一般の保育園と違い、比較的少人数の子どもを預かるため、子どもたちと関わる時間が多く取れます。
こんな感じで。(結構、ゆったりやってますよ~)
【院内保育室のある1日のスケジュール(うちの場合)】
- 8:30頃 順次登室
⇒ 最初に体調の確認をします。(体温を測ったり) - 8:40~ 自由あそび
- 9:30~ みんなで歌をうたいます
- 9:45~ おやつタイム
⇒ おやつの前に、トイレに行ったり、オムツを交換したりします。 - 10:00過ぎ お散歩に行きます。(散歩車に乗ったりしながら)
- 11:45~ 給食(昼食)タイム
⇒ 病院の厨房で、ご飯を作っています。 - 12:20~ 歯みがきタイム
- 13:00~ お昼寝タイム
- 15:00頃 起床して、おやつタイムです。
- 17:30以降 順次降室
また、行事やイベントが少なく、シフト制勤務のため、ほぼ定時で帰れることや、給与(賞与)が比較的高く、福利厚生が充実しているのも嬉しいポイントです。
子どもが熱を出したり、ケガをしたりといった場合にも、保護者が同じ建物内や隣接する場所いるため、安心度も高いですし。
もし、あなたが、
- ワークライフバランス重視で働きたい
- 子どもたちと、じっくり関わる時間がほしい(行事やイベント、制作物が多すぎる)
- 勤務時間(サービス残業など)が長く、疲れてしまった・・・
- もうちょっと、「給与の良いところ」で働きたい
- ブランクがあるんだけど、保育士としてまた働きたい
というなら、ぜひ、院内保育室も就職・転職先の1つとして検討してみてください。
オススメです。
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まとめ
待機児童問題や幼児教育・保育無償化により、保育士さんの人材不足は、かなり大きな問題になっています。
僕も、小さな子ども持つ親ですので、スルーできる問題ではありません。(僕の場合、仕事柄、保育士さんの人材確保も担当しているため、さらにです)
ただ、保育士さん側からすれば、かなりの「売り手市場」ということになりますので、就職・転職するには、チャンスです。
色々な事業所が、求人を出しているうえ、条件交渉などもしやすいので、あなたの希望にあった職場が見つかりやすいので。
ちなみに、転職の際には、必ず、再就職手当の受給を検討しましょう。
再就職手当は、ハローワークから支給される手当で、
- 2~3ヶ月も休むつもりがない
- すぐに次の職場を探す予定
- ハローワークで仕事を探す気がない(人材紹介サービスを使うなど)
という人でも、支給を受けられる場合があります。
また、再就職手当は、以前に比べ、給付率が上がったため、結構な金額になってます。
もらわないのはもったいないです。
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最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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