一般的に、「看護師」や「薬剤師」といった医療資格を持っている人の時給はとっても高額です。
時給が高いのは、すっごく嬉しいことなんですが、その高額な時給ゆえに、旦那さんなどの扶養範囲(年間130万円)で働こうと思うと、勤務時間がほとんど取れません。
結果、勤務時間が短すぎることで「採用を見送られる」なんてこともあたりまえです。
でも、
「勤務時間を長くしちゃうと、扶養から外れて国民健康保険になっちゃうし・・・」
「国民健康保険に入るって、一番損しちゃうよね???」
「だからって、社会保険に加入できるほど、働けないし・・・」
みたいに思ったりしますよね。
そこで、この記事では、「勤務時間が短くても社会保険に加入する方法」を紹介したいと思います。
「扶養からは外れちゃうんだけど、短い勤務時間で社会保険に入りたい・・・」という、看護師さんや薬剤師さんは、ぜひ活用してみてください。
子育て中の「看護師・薬剤師」のパート勤務は、特定適用事業所を選ぼう
一般的に、パート勤務(非常勤)が社会保険に加入するには、次の2つの要件をどちらも満たさなければなりません。
- 「1週間の所定労働時間」が常用雇用者(常勤職員)の4分の3以上
- 「1月の所定労働日数」が常用雇用者(常勤職員)の4分の3以上
わかりやすく例えてみます。
【条件】
常勤職員の所定労働時間と日数が次のような事業所(病院など)の場合
- 1週間の所定労働時間 40時間
- 1月の所定労働日数 20日間
1の条件を満たすには、「40時間×4分の3」で、週30時間の勤務時間が必要となります。
そして、2の条件を満たすには、「20日×4分の3」で、月15日の勤務日数が必要となります。
社会保険への加入は、この両方の条件を満たさなければなりませんので、
- 1日8時間勤務で、週4日間
- 1日6時間勤務で、週5日間
というような勤務をしなければなりません。
はっきり言って、子育て中に、この勤務って大変じゃないですか?
でも、「特定適用事業所」となっている事業所(病院など)であれば、
- 週20時間以上の勤務
という条件のみを満たせば、社会保険に加入できるようになります。
週20時間ってことは、
- 1日8時間勤務で、週3日間
- 1日5時間勤務で、週4日間
- 半日(1日4時間)勤務で、週5日間
というような勤務になります。
どうですか?
これなら、一気に、働くハードルが下がりますよね。
なので、子育て中の「看護師・薬剤師」さんがパート勤務をするなら、特定適用事業所を選びましょう!!
特定適用事業所とは、従業員が101人以上の事業所のこと
次に、
「特定適用事業所って、どんな所なの?」
についてです。
特定適用事業所とは、次のいずれかの要件を満たした事業所のことです。
- 厚生年金保険の被保険者数が101人以上の事業所
- 労使合意(働いている人の2分の1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること)に基づき申出をする法人・個人の事業所
- 地方公共団体に属する事業所
なお、その事業所(病院や施設)が「特定適用事業所」かどうかは、日本年金機構の公式サイトで簡単に調べられます。
⇒日本年金機構「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」
実際に検索してみると、こんな感じで表示されます。
赤く囲った「適用拡大の事業所」欄が「該当」となっていれば、「特定適用事業所」ということになります。
スマホでも検索できますよ。(ちょっと使いづらいですが・・・)
もし、「厚生年金保険・健康保険適用事業所検索システム」で確認できないときは、直接事業所に聞いてみてください。
「週20時間の勤務でも、社会保険に入れますか?」
という質問の答えが「イエス」なら、確実に、特定適用事業所ってことになりますので。
特定適用事業所における社会保険加入条件は4つ
看護師さんや薬剤師さんには、あんまり関係ないんですが、一応説明しておきます。
特定適用事業所において、社会保険に加入するためには、次の4つの条件をいずれも満たす必要があります。
- 週20時間以上の所定労働時間
⇒1ヶ月単位で所定労働時間が定められている場合、1ヶ月の所定労働時間を12分の52で除して算定します。 - 雇用期間が2ヶ月を超えて見込まれること
- 月額賃金8.8万円以上
- 学生でないこと
見てのとおり、特定適用事業所だからって、誰でも「週20時間の勤務」で社会保険に入れるわけではないんです。
時給設定が高い「看護師・薬剤師」さんだからこそ、週20時間の勤務で社会保険入れるのです。
だって、週20時間働いたとしても、月額賃金が88,000円以上にならなければ、社会保険には加入できませんから。
(逆に言えば、配偶者等の扶養に入れるってことなんですけどね・・・)
看護師・薬剤師の平均時給「厚生労働省の調査結果より」
参考程度に紹介しておきます。
令和2年の各職種の平均時給は、
- 看護師 1,776円
- 准看護師 1,579円
- 薬剤師 2,349円
となっています。
見てのとおり、社会保険の加入条件の1つである「時給1,100円(月額賃金88,000円)」を大幅に超えていますね。
社会保険に入っておくと、色々な給付金(手当金)がもらえるよ
「そもそも、社会保険に加入するメリットって何???」
という人のために、社会保険に加入するメリットを紹介しておきます。
健康保険料と厚生年金保険料が事業主と折半
社会保険(健康保険・厚生年金)加入者は、保険料が事業主と折半されます。
つまり、毎月の保険料が半額ってことです。
また、厚生年金への加入により、将来の年金受給額が増えます。
国民年金(基礎年金)だけの場合、満額でも「約78万円(年間)」しか支給されませんので、生活保障という意味では、ぜんぜん足りません。
でも、厚生年金へ加入することで、老後の不安を多少なりとも軽減することができます。
なお、ざっくりではありますが、
- 生涯平均年収額 400万円
- 厚生年金加入期間 43年(23~65歳)
- 65歳から年金受給
という条件で厚生年金受給額を試算すると、年間「90~95万円」が国民年金に上乗せされて支給されます。
出産や育児で仕事を休んだ時に、給付金が支給される
社会保険加入者が、出産や育児で仕事を休むと、
- 出産手当金
- 育児休業給付金
が支給されます。
出産手当金は、産前産後休業期間(産前42日間・産後56日間)に対し支給され、育児休業給付金は、育児休業期間に対し支給されます。
社会保険の「出産・育児に係る制度」は、非常に手厚くなっています。
必ず、利用してください。
詳しくは、こちらの記事を。
病気などで仕事を休んだ時に、手当金が支給される
社会保険加入者が、病気やケガで仕事を休み給与がもらえないとき、生活保障として健康保険から「傷病手当金」が支給されます。
支給額は、「給料の3分の2程度」と手厚い制度になっています。
詳しくは、こちらの記事を。
家族等の介護で仕事を休んだ時に、給付金が支給される
社会保険(雇用保険)に加入している人が、家族に介護が必要になり介護休業を取得した場合、【介護休業給付金」が支給されます。
支給額は、「給与の約67%」です。
詳しくは、こちらの記事を。
仕事を辞めたとき、失業手当が支給される
社会保険(雇用保険)に加入している人が仕事を辞めた場合、新しい仕事を探すまでの間、「失業給付金(基本手当)」が支給されます。
また、再就職した際には、「再就職手当」という就職お祝い金も支給されます。
どちらも嬉しすぎる制度です。
ぜひ、活用してください。
詳しくは、こちらの記事を。
このとおり、社会保険に加入するメリットは、結構多いです。
せっかく、高い時給で働けるんですから、社会保険に加入しないのはもったいないです。
ぜひ、社会保険への加入を検討してみてください。
まとめ
ここで、パート勤務を希望する子育て中の「看護師・薬剤師」さんに、特定適用事業所をオススメする理由についてまとめておきます。
- 週20時間の勤務で、社会保険に入れる
- 健康保険料と厚生年金保険料が半額になる
- 社会保険の加入により、補償(給付金など)が手厚くなる
もし、あなたが「午前中だけでも、働いてみようかな~」と思っているなら、ぜひ「特定適用事業所」で社会保険に加入しながら働きましょう。
そのほうが絶対お得です!!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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